『Sheetmetalましん&そふと』2013年7月号に掲載

2013年7月

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米国メディアから見た日本の製造業

国際交流米国メディアが見た日本の製造業

「日本で見学したような工場は米国にはない」

8名の記者が来日

アマダの米国現地法人AMADA Americanの働きかけで、5月13日から18日までの6日間、米国メディアーー金属加工専門誌の記者、経営者が日本を訪れた。

今回、訪日したのは『TheFabricator』(FMA:Fabricators&ManufacturersAssociation刊)、『MetalFormingMagazine(PMA:PredsionMetalformingAssociation刊)、『FF」ournal』(TrendPublishing刊)の3誌から計8名。

米国メディアの記者たちは、精密板金サプライヤーである㈱深沢製作所神奈川工場(神奈川県足柄上郡)、ATMなどの大手メーカーである沖電気工業㈱富岡工場(群馬県富岡市)、アマダの伊勢原事業所(神奈川県伊勢原市)と富士宮事業所(静岡県富士宮市)の計4カ所を訪問した。

精密板金サプライヤー、㈱深沢製作所

米国メデイアー行は5月15日、㈱深沢製作所・神奈川工場(神奈川県足柄上郡)を訪問、見学した。

同社は情報機器・放送機材、AVC(オーデイオ・ビジュアル・コンピュータ)機器の精密板全部品加工などを手がける精密板金サプライヤー。創業以来45年間、時代の変遷に合わせた厳しい要求-特に得意先の単品製作のニーズに不断の生産改革と多様な人材の活用で対応してきた。特に人材育成については、熟練工の技術を“見える化”するとともに、社内資格制度を設け、保有する資格によって担当工程を割り当てるなどの取り組みを行ってきた。

2007年に稼動を開始した神奈川工場のコンセプトは「板金体感工場」。「見せる工場」としてプログラムエ程からブランク・曲げ・溶接までの全工程を公開し、得意先の設計者のイメージをいち早くカタチにすることを目指して実証加工にも対応している。

ATMなどの大手メーカー、沖電気工業㈱

5月17日には沖電気工業㈱・富岡工場(群馬県富岡市)を訪問。見学した。

同工場は、沖電気工業が推進・展開するメカトロシステム事業の基幹工場。金融系情報処理製品(ATM、自動契約機、現金処理機、窓口端末)、運輸計情報端末製品(空港向けチェックインカウンター・搭乗ゲート、鉄適向け窓口発見端末・自動券売機)などの筐体やメカ部品の製作に板金加工技術を活用している。

同工場は、ワンクランプで穴あけ・切断・タップ・成形加工に対応するパンチ・レーザ複合マシンを国内で最初に導入し、プレスによる大量生産からプレス並みの高品質な板金加工による変種変量生産へとシフトしてきた。現在、ブランクエ程ではACIES-2512Tを含め8台のパンチ・レーザ複合マシン、3台のパンチングマシンが稼働し、曲げ工程では6セットのベンディングロボット、25台のベンディングマシンが稼動している。

米国メディアの記者たちの反応

2社の訪間を終えた米国メデイアの記者たちは、次のように印象を語っている。

「2社を訪問できたことは非常に有意義だった。企業の差別化は、板金加工に対する取り組みのちがいから生まれるのだと確信できた。深沢製作所は作業者の技能に重点を置き、沖電気工業はパンチ・レーザ複合マシンや自動金型交換ユニットなどのテクノロジーを駆使することに重点を置いていた」(FMA・DanDavis記者)

「2社とも整理整頓が行き届いており、非常に上手に操業していた。米国で多くの工場を取材したが、今回日本で見学したような工場は米国にはない」(PMA・AndyFlando発行人)

「2社とも、経営者・管理者と社員たちの誇り高さとプロ意識が強く印象に残っている。彼らの姿勢は非常に模範的で、全員が品質と生産性を強く意識していることが感じられた」(PMA・BradKuvin記者)。

「深沢製作所の設計・プログラム室が質素で驚いたが、完壁な図面と作業指示書を作成していたことにもまた驚いた。沖電気工業は、わずか3人の作業者が6台のベンディングロボットをオペレーションしており、同社がいかに自動化を重視し、アマダのソリューションを信頼しているかが伝わった」(TrendPublishng・TomKlemens記者)。

また、アマダの伊勢原事業所と富士宮事業所については「(富士宮事業所は)インテルの半導体工場と同等に素晴
らしいものだった」(FMA:EdYoudell社長)、「アマダのプロフェッショナリズムとユーザーに対する真摯な姿勢は本物だと感じられた」(PMA・AndyFlando発行人)とのコメントも寄せられた。